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起立性調節障害と思春期の成長

起立性調節障害(OD)という朝に起きられない病気があります。思春期に発症しやすいと認識されています。
東洋医学的には心身の成長に生殖能力の成長が加わることが大きく関係すると観ることができます。

起立性調節障害が発症する思春期

臨床現場では1960年くらいから見られるものだったようです一般的には長く認知されない病気でした。この10年くらいでだいぶ学校、教育業界で知られるようになりました。僕は専門学校で医療の勉強を始めてから、起立性調節障害のことを知り、振り返って自分が起立性調節障害だったんだと理解しました。大人になってからも体の状態によっては立ちくらみが出ることがあります。

起立性調節障害は思春期に発症することが西洋医学では知られています。思春期に発症することの理由は身体的な成長や、思春期の精神の成長、その他人間関係の変化など社会的なものと関係しているとされています。

そこに東洋医学的に心身の関連を合わせて観ると、起立性調節障害の発症には第2次性徴が関係することが見えてきます。つまり生殖能力、性の成長が関係します。

体と心の成長期

人間は生まれた赤ちゃんから大人になるまでスクスクと体が成長します。

  スクスク大きくなるぞッ

成長する時には栄養が必要です。食事をしっかり食べることだけでなく、栄養を取り出す消化器がしっかりと働く必要があります。だから子供はよく食べますね。食べ過ぎたりする子供もいますが・・・

10歳前後になると、大人になる準備として第二次性徴が始まります。大人の体になるということは、生殖能力が身に付くということです。この時期から思春期が始まるということになります。

第二次性徴が始まると身長や体重など体の成長も、それまで以上に増加するようになります。男女差、個人差がありますが高校生くらいまでは続きます。体の成長が終わるのは個人差がありますが、身長を目安に見てみると女性は13~15歳、男性は16~18歳です。

思春期には体だけでなく、心、精神も成長します。精神の成長は脳の発達や性ホルモンの影響があります。こうして体と精神が大人になっていきます。そして、生殖能力がさらに備わっていくことになります。 

生殖能力の成長

第二次性徴は体の心の成長期に加えて、さらに生殖能力の成長期が加わります。成長は嬉しいことですが、同時に体や心の負担になることもあります。
思春期には生殖能力の成長がある程度進んだ後、生殖機能が発現することになります。子供を作るための生殖機能が働き始めるということです。

女性では月経が始まります。専門用語では「初潮」または「初経」しょけいと言います。初潮年齢は最近の調査では平均約12歳となっています。調査年代により年齢は推移しているようです。月経に関係する働きとして子宮内膜を厚くしたり、排卵したりする妊娠機能が働いています。妊娠しなかった場合に起こるのが月経です。

女性の精

  丸くないけどわたしは卵子

男子では精子を作り、射精する能力が働き始めて、初めての射精が起こります。専門用語では「精通」せいつうと言います。精通年齢は最近の調査では15歳ほどです。こちらも年代により推移しています。射精に関係する働きとして精子や精液を作る機能が働いています。

男性の精

  ガッチリした精子だぞッ

女性は月経時に出血するために血が体から出ていきます。男性は射精することで精が体から出ていきます。

女性は月経で出ていった血液を増やしたり、再び子宮内膜を厚くするために栄養が必要になります。男性は射精で出ていった精子や精液を再び増やすために栄養が必要になります。

栄養の供給源はもちろん食べ物、飲み物から作られる血液ですね。

成長期には栄養が必要

 そんな体と精神の成長に、生殖能力の成長が加わるんですね。「トリプルの成長」ということです。成長するために心身が頑張ってくれますが、同時に心身の負担にもなっているんですね。トリプル成長なので、それまで以上に成長力を補充する必要が増します。生殖能力の成長のために栄養がより必要になります。

女性は月経、男性では射精によって血液と精液が減少するので、そのための栄養を補充する必要があります。この時にもともと消化器が弱かったり、身体ストレスや精神ストレスで消化吸収力が落ちていると、毎日の活動のために必要な栄養に不足が出てきてしまいます。

起立性調節障害では起きた後だんだんと調子が上向きになり、夕方以降はかなり元気に動けるようになります。しかし消化器があまりに弱い場合だと朝起きられないだけでなく、昼に起きてからも眠いなぁ~・・・なんてことも起こります。

当然のことですが、食事の内容も重要です。中高生になると得てして食事の質や量が乱れることがあります。女性は甘い物の糖質が多くなります。男性はスナック菓子やハンバーガー、揚げ物といったジャンクフードなど脂物を多く食べるようになります。特に女性はダイエットをし始めると逆に糖質、脂質ともに極端に少なくなります。糖質や脂質が多すぎても少なすぎても成長や消化器の負担になります。

糖質、脂質は主に活動に使われる栄養です思春期の心身や生殖機能の成長に必要なのはたんぱく質やビタミン、ミネラルです。甘い物、ジャンクフードでは成長に必要な栄養を補充することができません。

この他に成長ホルモンの影響もあります。成長期に分泌される成長ホルモンには睡眠時間を増やす働きもあります。「寝る子は育つ」。そういった影響で朝に起きられなくなるということもあるんですね。

このように思春期に特有の生殖能力が成長する時期と、起立性調節障害(OD)の発症する時期は重なります。このつながりには東洋医学で観ると大きな意味があります。この大きな成長期に体が付いていくことができないことが起立性調節障害(OD)の発症につながると考えることができます。 

生命と成長と精

成長する力は 東洋医学では精の力が関係しています。精は生命力そのものです。
東洋医学では成長する力は腎(じん)の働きが関わっています。腎は下腹で元気を持っている内臓です。その元気は生命力である精から作られます。同時に精の力で体は成長します。

先天の精

  太極図から生まれた精だよッ!

ちなみに太極図というのは東洋医学で同じみの図です。

太極図は自然界で万物が生まれて移り変わる様子を表現しています。陰陽を表現しています。人間で言うと黒は陰性に分類される女性、白は陽性に分類される男性です。東洋医学で言う精は母親の精と、父親の精が合わさったものから作られます。これが受精卵で一人の人間として誕生するんですね。生まれた後もその精は、生命力貯蔵庫の腎(じん)が下腹で温存し続けて成長力や活力の源となっていきます。

若い人の中には「精」という言葉に馴染みがない人もいるかと思います。

「仕事に精を出す」「精力的に働く」は活動的に頑張るという意味です。精には活力、生命力の意味が含まれます。白いお米は「精白米」と言いますね。精というのは白いという意味を含みます。男性の「精液」は白い液体です。その他にも熟語では「精一杯」「精魂」「精鋭」などがありますね。

夏に恒例の「土用のうなぎ」は「精を付ける」食事とされていますね。栄養豊富なものを食べて夏を乗り切る体力、活力を付けるという意味があります。でも「精を付ける」食事は生殖能力を上げるという意味合いもあります。「精力」は根気があることを言いますが、生殖能力が高い人を「精力旺盛」と表現します。この場合一般的にはあまり「根気がある」という意味では使いませんね。

腎は活力源

全身の活動するための力の源泉は精です。その精は腎(じん)が持っています。笑顔で活動している人を「元気があるね」なんて言いますが、まさに体の力の元=元気を持っているのが腎です。その元気は精から作られているんです。

だから腎が弱いと「元気がなくなる」という状態になってしまいます。精は生命の源です。遺伝子にも関係します。食べ物から糖質、たんぱく質、脂質を補充して、それらの栄養から精が補充されています。そしてまた精から元気が作られるという生命力と活力が循環していきます。

消費される精の補充

女性は子宮内膜の形成と月経時の出血で血液を消耗します。東洋医学では血は精から作られるものなので、血の減少は精の減少になります。卵子を包み持つ卵胞発育には1年ちょっとの長い期間を経て成長して、排卵が行われます。

男性は精子形成と射精で精を消耗します。東洋医学ではどちらも精を消耗することです。精が少なくなることは補充されます。男性の精子形成は常時行われていて、成熟するまでに約70~120日、約3か月ほどかかるとされています。そのため精子製造のための栄養はつねに必要です。

しかし消化器が弱いと、活動のための栄養と、生殖力のため栄養の両方を十分に補充することができません。まだ体と心と生殖機能が成長段階にある思春期の中高生は、体の成長しきった大人よりも栄養が量と質ともに必要量は多くなります。

そして東洋医学では精はその体と心と生殖機能全ての成長に消費されます。
さらに言うと全身の活動には元気が原動力ですが、その元気は精から作られています。だから毎日の活動で消費されていく精を補充することはとっても大事なことです。そのために栄養豊富な食事とともに、元気に働く消化器から栄養補給が必要になります。

腎の鎮静力

腎は全身の活動を休ませる力を持っています。興奮を冷ます鎮静力ですね。
人が体を休めるために眠るのは夜です。腎はその鎮静力で体を休ませます。

しかし腎の力が弱っていると鎮静力が働きにくく、なかなか眠くなりません。
「まだなにかしたい!」といった気分は鎮静力が落ちて、興奮状態が続いているためです。
そのため夜更かしになってしまいます。夜更かしすることは腎の力が充分に回復できません。

さらに悪いことに腎は活力源でもあるので、昼間の活動にも影響するということも起こってしまいます。

【参考文献】
『うちの子が「朝、起きられない」にはワケがある -親子で治す起立性調節障害-』森下克也著
『起立性調節障害の子どもの正しい理解と対応 』田中英高著

 

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